脳科学ブログ

2020.10.01

寝不足が招く恐怖!細胞が脳を食べる?ファゴサイトーシスの脅威

脳科学 記憶

寝不足が招く恐怖!細胞が脳を食べる?ファゴサイトーシスの脅威

睡眠時間が不足した状態が何日も続くと、頭の回転が鈍くなり、注意力散漫になったり仕事への集中力も続かなくなってしまいますよね。「徹夜をすると脳細胞が死ぬ」なんて言葉も聞いたことがあるのではないでしょうか。

寝不足が身体にも脳にも良くない、というのは周知の事実ですが、寝不足をすると「細胞が脳を食べる」ってご存知でしたか?

聞いただけでもゾワッとするお話ですが、今回はそんな脳の自己破壊作用である「ファゴサイトーシス」についてご紹介します。

細胞の食作用(ファゴサイトーシス)とは

食作用…聞きなれない言葉ですが、要するに生体が体内に入り込んだ異物(病原体や細胞の死骸など)を取り込み分解する役割のことです。身体に入ってきたばい菌をやっつけてくれるマクロファージが行っているのも食作用の一種です。

人間の身体では、さまざまところで新陳代謝が行われており、老廃物が蓄積していきます。もちろん脳も例外ではなく、たまった老廃物を清掃する細胞が必要になります。そこで、脳の食作用(お掃除)を担当してくれるのがグリア細胞のひとつである、アストロサイトとミクログリアです。

このグリア細胞たち、従来の研究では人が眠っている間に脳の食作用を活発に行っていると言われていました。しかし後の研究で、睡眠時よりも一時的な睡眠不足の時の方がアストロサイト遺伝子が活性化するということがわかりました。

また、脳内環境の乱れや炎症に反応して活性化するミクログリアも、睡眠不足時に活性化することが明らかになったのです。

寝不足でシナプスが食べられちゃう!?

人の記憶は、脳細胞同士がシナプスという紐でつながり、複雑な立体パズルのようなイメージで保たれています。しかし、グリア細胞による食作用はこのシナプスを食べてしまうため、紐がなくなってパズルをまともに組む(記憶を構成する)ことができなくなります。

イタリアのマルケ工科大学、臨床・実験医学科のミケーレ・ベレッシ博士が『Journal of Neuroscience』で発表した研究によると、慢性的な睡眠不足が引き起こす脳への物理的ダメージは、細胞レベルで確認できるという結果が明らかになりました。

マウスを下記の1~4のグループに分け、アストロサイトとミクログリアの働きをそれぞれ調査するという実験が行われました。
1.安眠したマウス:6~7時間充分な睡眠をとったグループ
2.安眠を妨害されたマウス:眠ってる最中に何度か起こされたグループ
3:睡眠不足グループ:通常よりも8時間以上起きていたグループ
4:慢性的睡眠不足グループ:刺激により4日半起こされていたグループ

実験結果
アストロサイト活性
1:5.7%
2:7.3%
3:8.4%
4:13.5%

深刻な寝不足は神経変性疾患を引き起こす

先の実験結果では4のグループは1のグループに比べてアストロサイトの活性が2倍以上に膨らんでおり、またアストロサイトに最も標的にされていたシナプスはより成熟した繋がりを持ったシナプスであることが明らかになりました。

最も使用頻度の高い記憶領域に対して、アストロサイトの過剰な清掃管理機能が悪影響を与えることを示唆しており、専門家はこの現象がアルツハイマー病などの神経変性疾患を引き起こすリスクをつり上げると警鐘を鳴らしています。

またこの研究によりミクログリアも慢性的睡眠不足により活性化することが確認されており、3の睡眠不足グループでは見られなかったシナプス構成要素に対する食作用が4のグループではより増加していました。

過度のミクログリア活性が脳神経傷害と関連していることは既に明らかになっており、単なる睡眠不足以上の慢性的睡眠不足による悪影響は「こちらの発見の方がより深刻である」と、論文筆者でもあるベレッシ氏もコメントしています。

いかがでしょう。寝不足になるとシナプスが細胞に分解されるとは…こわい話ですよね。日本人はただでさえ寝不足大国として知られていますが、なんとか工夫をして慢性的睡眠不足(徹夜など)の状態を避けたいものです。

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