脳科学ブログ

2019.10.14

超かるい運動が効果的!「運動で記憶力アップ」オモシロ研究報告vol4

脳科学 記憶

超かるい運動が効果的!「運動で記憶力アップ」オモシロ研究報告vol4

人の脳はとても複雑。どんなコンピューターより精密に出来ていると言っても過言ではありません。それゆえにまだまだ神秘のベールに包まれて謎が多い人間の脳ですが、日々研究が進んでいます。今回はその中から、記憶に関係する興味深い研究についてお話します。

海馬が司る記憶のシステム

私たちは、朝起きてから夜寝るまでさまざまな記憶に基づいて行動をしています。無意識に行っていると思えることも、実は脳が記憶していることをそれに沿って行っているのです。

つまり「記憶力」は生活の重要なベース。さらには受験や資格試験、仕事や趣味の上達などにおいては、記憶力が良いか悪いかは非常に大切な問題です。記憶力の良さによって結果に大きく差が生じてしまいますよね。

その大切な「記憶力」を司っているのは大脳の中央部分にある「海馬」という組織です。
人が得るさまざまな情報は大脳の表面にある「大脳皮質」から「海馬」に入力されます。

海馬の中の「歯状回」で新しい神経細胞が生まれる

脳全体には、1000億個にものぼる神経細胞があり、とても複雑な神経細胞ネットワークによって情報を伝えています。脳の神経細胞は大人になると増えることはなく、減少する一方だというのがこれまでの定説でした。

ところが、最近の研究では年齢に関係なく、海馬の中の「歯状回」という部分で新しい神経細胞が生まれることがわかってきました。まだまだ脳は成長できる!という嬉しい研究結果です。

では、より神経細胞を増やすにはどうしたらいいのでしょう。

ヒトにおいても高磁場MRIで確認された「超かるい運動」の効果

神経細胞の増加に効果的なのが「軽い運動」です。ラットやマウスの実験ではすでに、軽度な運動による海馬の神経細胞の活性化が確認できていました。

ヒトの実験では、簡単に実験後の脳の状態を見られないのが研究のネックとなっていましたが、米カリフォルニア大学の共同研究グループが開発した高磁場MRIを使うことにより実験することができたのです。

実験グループをふたつに分け、片方のグループには30%程度の力で行う10分間のペダリング運動、もうひとつのグループには10分間の安静の後、5分後に記憶テストを行いました。

テストでは、目から入ってきた情報を覚え、その後の判断に活用できるかどうかを確かめます。順番に見せられる画像を、「同じ」「似ているけど少し違う」「始めて出てきた」と区別する実験。軽い運動をした後のグループの方がテストの正解率が高いという結果が出ました。

また、高磁場MRIによる脳の解析では、軽い運動をした後のグループで海馬歯状回と周辺皮質の活動が活発になることもわかりました。

ハードな運動は、ストレスにつながるため必ずしも脳の機能アップにはつながらないそうです。ヨガや太極拳、ウォーキングなど「気持ちいいな」「たのしいな」と思える程度の軽い運動で十分!朝の出勤前、勉強の前の軽い運動をすることでリフレッシュと記憶力の向上につながるなら一石二鳥ですね。